生活保護の相談・申請

生活保護の扶養調査書が届いたらどう対応すればいいか?

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この記事は、「生活保護の扶養調査書」が届いたが、全く見に覚えがなくどうしたらいいか分からないという方に向けて生活保護元ケースワーカーが対応方法について書いた記事です。

こんにちは、元ケースワーカーの坂本と申します。

この記事を読まれている方の中には「親族の生活保護の扶養調査書が届いた」という方が多いかもしれません。

この不要調査書、一体どういったものなのか?

回答したほうがいいのか?

なんで自分の住所を知っているのか?

不安に思う人が多いかもしれません。

今回はそんな生活保護の扶養調査書が届いた方に向けてどのような対応をしたらいいかについて書いていきたいと思います。

扶養調査書とは?

扶養調査は、生活保護受給者の親族に対して送られる文書のこと。

生活保護の受給に際して親族の扶養は保護に優先します。

つまり、生活保護を受けている方の親族に対して「この人は生活保護を受けているから金銭的・精神的に援助はできますか?」という調査をするためものです。

回答の義務はあるか

当該文書の回答義務ははっきり言ってありません

しかしながら、元生活保護ケースワーカー的には、何かしら回答をしていただけるとありがたいです。

例えば金銭的な扶養はできないけど、病院通院の付き添いや、死亡時の遺骨引取はできるなど、その旨を調査書に記載して返送していただけると受給者及び福祉事務所の助けになります。

ちなみに、生活保護の扶養の種類は関連記事を参考にしてください。

なぜ自分の住所を知ったのか?

生活保護法の職権で受給者の戸籍をたどり親族の住居地を把握するからです。

受給者本人には扶養義務者の同意がない限り住所を知らせることはありません。

Q&A

最後にQ&A方式で扶養調査書が届いた人が悩むだろう事柄について回答していきます。

なお、下の例はすべて架空のものです。

二度と関わりたくない身内だが、調査書は回答しなくてもいいか?

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30代、男性
父親が生活保護を受けているとして扶養調査書が届いた。
父はギャンブル三昧で家庭内暴力を繰り返し自分が中学生の頃に浮気相手と家を出て以来20年間音信不通だった。
母親はその心労で早世してしまい、父親を許すことはできない。
扶養調査書が届いたが一切父を助ける気はない。
回答するのも腹立たしい。
どうしても回答は必要か?

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その経緯を書いたうえで、「一切の扶養は行う予定がない。死亡時も含め連絡をしないでほしい」と記載して返送することをおすすめします。
受給者の親や子どもは扶養者の中でも特に扶養を求められる「重点的扶養義務者」として取り扱われます。
この場合、仮に未回答出会った場合でも定期的に調査書を福祉事務所が送付する場合があります。
これを防ぐためには今までの経緯を調査書に記載してもらい、「扶養はしない・一切の連絡はしない」と記載して返送すると多くの福祉事務所ではそれ以上の連絡をしないと思われます。
ただ、受給者死亡時など遺骨の引き取り手がおらず他に連絡する方がいない場合には福祉事務所から連絡をすることも考えられます。

音信不通だった受給者と連絡が取りたいがどうしたらいいか

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70代、男性
兄の扶養調査書が他県の福祉事務所から届いた。
兄は中学卒業後に上京。
30年ほど前から連絡が取れなくなり生きているかどうかもわからなかった。
今回の書類送付によって生存していること、生活保護を受給していることを初めて知った。
自分も年金生活者で金銭的な余裕がないが、本人に定期的に電話することぐらいはできる。
本人の電話番号を教えてもらうことは可能か?

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福祉事務所に電話で訪ねてください。
受給者本人に職員から連絡し、本人の了承を得たら電話番号を教えることも考えられます。
電話などでやり取りをすることも生活保護上の「精神的援助」にあたります。
家族の電話は本人を助けることに繋がります。

まとめ:困ったら福祉事務所に相談しよう

扶養調査書には管轄の福祉事務所の電話番号が載っています。

どうしたらいいのかわからなかったり、書き方に悩んだりした場合には書類記載の電話番号に連絡をしてください。

ちなみに、幸いにしてこのようなケースは聞いたことがありませんが、「付属の返信用封筒に金銭を同封して返信して欲しい」など送金を福祉事務所が求めることは絶対にありません。

この場合は詐欺ですので警察もしくはお住まいの自治体の福祉事務所に相談してください。