こんにちは、元生活保護ケースワーカーの坂本です。
左派のメディアや弁護士を中心に「生活保護の水際作戦」についての話であったり、実際にYouTubeに動画などが上がっいたりします。
しかし、水際作戦は本当にあるのでしょうか?
実際に生活保護の面談を行っていた元生活保護ケースワーカーの筆者がこの問題について話してみたいと思います。
「水際作戦」の定義について
そもそも生活保護の「水際作戦」とはどのようなものでしょうか?
私が勤めていた福祉事務所ではもちろん「水際作戦」は行われておらず、近隣の福祉事務所においても聞いた限りでは同様です。
このため何をもって「水際作戦」と呼ぶかが曖昧なので定義づけをしてみます。
さて、今回「水際作戦」の定義は以下の通りとします。
なお、これらに関しての元生活保護CWたる私の回答は以下の通り
生活保護の「水際作戦」について考えられるもの
相談者と福祉事務所側の行き違い
いわゆる「水際作戦」と一般の方が主張するのは福祉事務所側の説明を相談者が曲解しているケースがほとんどではないかと思います。
「生活保護の相談をしたら聞かれたくないことを根掘り葉掘り聞かれた…」
これは必要なことです。
生活保護はお金を渡して終わりなのではなく生活が困窮した原因をつきとめそれを改善し、生活保護から脱却することを目的としています。
そのため、「今何に困っているのか」を根掘り葉掘り聞かざるを得ないのです。
また、「親族の援助」は保護に優先するためまずは家族に相談してはどうかとも伝えることにはなるでしょう。
しかしながらこれらの説明をしたとしても相談者に通じにくいのは事実。
「今困ってるのにごちゃごちゃ言うんじゃねえ!保護になるのかならないか早く教えろ!」と思われるのは当然かと思います。
生活が困窮すると精神的に追い詰められ視野が狭くなる状態です。
「貧すれば鈍する」とは良く言ったものでお金があるときに比べて人間の判断力は体感として目に見えて落ちます。
このため「現在の収入等が不明なため生活保護を申請したとしても受給できるかはわからない」という福祉事務所の助言に対して「生活保護が受けられない」と解釈して罵倒しながらこちらの話を聞かずに帰っていく、なんてケースもありました。
このように福祉事務所による説明を本人が知的・精神的・経済的な要因から理解できず、それを「水際作戦である」と誤解しているケースも少なくないと思います。
元CW的には相談者寄りの第三者として会社の上司・友人等が同席した方がいいかもしれないと思います。
本当に「水際作戦」があるパターン
次に考えられるのが本当に「水際作戦」があるパターン。
弁護士等が録音した音声がYoutube等に上がっています。
それらの音声を聞く限りでは「アウトっぽいなぁ…」というのもあるのは事実。
ただ、福祉事務所職員が生活保護を水際作戦で阻止したところでボーナスは増えないし人事考課も変わらないため、職員が水際作戦を積極的に行う必然性がないのも事実。
上司及び職員の偏った思想で行われているのか福祉事務所において解釈が誤っているのか…実際に水際作戦を行ったことがないので想像です。
仮に水際作戦を行っていた場合そもそも違法であるうえ憲法第25条の生存権を脅かすものであって断固許されるものではありません。
まとめ:「水際作戦」が完全に0かどうかは怪しい
ほとんどの福祉事務所では適切に生活保護に関する手続きは行われていると思います。
ただ、厚生労働省のサイトによれば国内の福祉事務所は1250箇所。
この全ての事務所、職員が一片のミス、解釈の誤りもなく事務ができているかと言われると簡単に首肯することはできません。
しかしながら皆様に誤解していただきたくないのはほとんどの職員は心から相談者を助けたいと思っていること。
まず「水際作戦」は行われていないと思ってください。
このため、相談の際にやたら敵対的な態度で訪れる必要はなく、普通に相談すればいいと思います。
もちろん本当に水際作戦を食らうなど不法な行為があった場合には、市に対する抗議や弁護士、あの政党やこの政党の議員を連れていくなどそれなりの対抗措置を取ったほうがいいだろうと思います。