「配属ガチャ」という言葉が流行して久しいですが、市役所にも配属ガチャがあります。
むしろ学生時代の専攻を全く考慮せず、空いているポストにとりあえず人事がねじ込んでいくという点においては市役所を始めとした基礎自治体の方が民間企業よりも「配属ガチャ」は残酷と言えるでしょう。
市区町村役場における「配属ガチャ」はの当たり外れは自治体ごとに微妙に異なります。
ただ一番のハズレは「福祉系」というのはどこも共通しているでしょう。
私はその中でも一番の大外れ部署である「生活保護」を新卒から担当していました。
本当に他の部署に配属された人を恨んでいましたし、退職の遠因でもあるこの配属ガチャ、私は翻弄された一人です。
今回は、福祉系部署がなぜ配属ガチャの外れなのかと、もし福祉系の部署に配属されたらどう行動すべきかについて書いていきたいと思います。
福祉系部署はなぜ「配属ガチャ」外れなのか
仕事がストレスフル
市区町村役場、つまり基礎自治体職員は住民と直接触れ合うことになります。
その中でも福祉関係は比較的高いレベルの大学を卒業した職員が人生において触れ合ったことのないような人間と関わることになります。
私は初日の午後にいきなり市民から怒鳴られました。
大なり小なり市区町村役場職員は筋の悪い人間と関わることになりますが、その中でも福祉関係はその割合が高いことから仕事はストレスフルになりがちです。
将来的に仕事が増える一方
福祉関係の仕事は増え続けています。
止まらない高齢化によって福祉の部署はニーズが増え続けています。
しかしながら基本的に人員は増えることがなく、そのうえよくわからない新規事業などが立ち上がることから仕事は増える一方です。
自分は生活保護担当だった時には定時どころか定時から1時間経って帰れたことすら年に数回といった有様。
同期の飲み会も行けず、新人研修でも呼び出されて何度も中座する有様でした。
休みにくい
上記の通り福祉部署は激務であることから公務員の数少ない美点である「休みやすさ」とは無縁です。
実際に有給の消化率も低く、隣にあった障害課では年に2回休んだ人が一番有給の使用率が高いということもありました。
これで他の部署と基本給が同じというのも腹立たしかったです。
休日出勤がある
まちづくり系や広報にかかわる部署ほどではありませんが、福祉系の部署も休日出勤があります。
福祉にかかわるイベントごとや土曜日も出張所がやっている場合については休日出勤があり、代休があてがわれます。
しかしながらその代休を消化するので精一杯で有給を使うことすらままならないことも。
転職価値が低い
これらの状況から私は公務員を辞めて民間企業に向けて転職活動をしました。
ただでさえ公務員から民間というのは転職人材としての価値が低いのですが、福祉関係の部署からの転職なのでかなり苦労しました。
例えばまちづくり系の部署からの転職であれば自治体向けコンサルも検討できます。
一方福祉部署からの転職は、福祉に関わる会社やグループホーム、医療事務などから転職時にオファーを受けました。
しかしながら、福祉関係は給料が安い!
福祉関係においては公務員が給料水準はトップであるといえます。
つまり待遇を向上する転職は福祉関係の経験だけではできないと言えるのです。
一度福祉をやると「ずっと福祉」の可能性も
一度福祉を経験すると「ずっと福祉」というのが私の自治体の不文律でした。
これは自治体にもよります。
精神的に病んで休職するか、人事で大暴れをしない限り福祉をやった人間はずっと福祉をやらされるのです。
その結果、私のいた自治体では福祉配属になった新卒が10年残っている人の方が少ないという状況になりました(私も辞めた側の一人です)
もっともこれは自分が務めていた自治体が異常だったのもありますが。
ただ福祉関係は介護・医療・年金・生活保護などの広い知識が要求されることから一朝一夕では職員を育成できないのは事実。
一度福祉系を体験すると社会保障制度関係の部署をたらい回しにされる可能性は高いです。
待遇が悪い状態がずっと続くと思うとしんどいです。
福祉部署に配属されて「配属ガチャ」を失敗したと思ったら
- もし、市区町村役場に奉職し、配属先が福祉関係だったら…
- もし、その部署が「配属ガチャ」大外れだったら…
- もし、福祉部署に一度配属されたらずっと福祉をやらされることが確定したら…
その場合において対応すべきことについて書いていきます。
異動願いを書く
まず、定期的に行われる面談やアンケートにおいて「福祉から異動したい!」と強く書くことです。
だれも福祉なんてやりたくないので「あんまり福祉は好きじゃない…」みたいな書き方をしても人事は無視します。(無視され続けました)
しっかり「一切福祉をやりたくない!」「福祉の部署から一刻も早く異動したい!」旨を書く、伝えることが必要です。
多少変な人と思われても合わない部署で精神を潰される方がよっぽど人生にとって損です。
転職準備を開始する
もしあなたが若く、仕事を続けるのが難しいと考えるのであれば転職準備を開始するのも一つでしょう。
忙しい中で、TOEICなどの資格を取りながら転職サイトに登録するのも一つの手段です。
新卒ならば第二新卒枠で別の民間企業に行くのも手でしょう。
私は辞めてから転職を始めたクチですが、在職中からエージェントサイトに登録し、転職エージェントと話をするのもオススメです。
私のように民間企業を受けずに公務員になった人にとっては、民間の選考の段取りも異なるうえ、転職活動の進め方や職務経歴書の添削などもしてくれることから自信がない人ほどエージェントに相談するのがいいかもしれません。
「辞める」という選択肢も…
本当に耐えられなければ休職・退職という選択肢もあります。
自分のいた福祉部においては休職や退職する人も多くいました。
公務員は休職に対するリカバリーが民間企業に比べれば比較的しっかりしているため、給食をした場合におけるデメリットは少ないといえます。
また精神的に壊れてしまってからの転職はかなり大変だと思います。
私は生活保護CWとして精神を病んでしまった方と面談することが多かったのですが、やはり一度精神病になってしまうと何十年も闘病し、人生を楽しくないものにしてしまっている方もいました。
正直なところ配属されたときの「最初の違和感」を払拭することは困難でしょう。
やりたくなく、辛く、意味のない仕事を続け心を壊すよりも思い切って退職するのも一つの手段です。
しかしながら、公務員は雇用保険の適用外であることから退職時は貯金額を勘案して行動したほうがいいと思います。
まとめ:福祉部署はこれからも肥大化する、部署ガチャはどんどん不利になっていく
退職する前に、庁内で行われた研修で、バブル期と現在の職員の推移について勉強しました。
部門ごとの定員数もその際に学びました。
それによればバブル期には土木関係が大きなウエイトを占めていましたが現在は福祉系部署がマジョリティ。
この傾向はこれからも変わらないと思います。つまり基礎自治体の配属ガチャの中身はどんどん外れが増えているという状況です。
私は福祉の仕事自体は嫌いではなかったのですが、あまりにも他の部署との待遇の格差が大きいこと、そしてその格差が是正される見込みがまったくないことを悲観して転職することにしました。
ベテラン職員と話すと皆一様にこう言っていました。
「年々仕事が増えていく…」と。
待遇が悪化しているのに転職できずに精神が潰れていく人を私は職場で何人も観てきました。
福祉が好き、仕事が好きという人であっても待遇の悪化で逃げられずゆでダコになる可能性もあります。
今後のことを考え転職も含めて一度検討してみることも考えてみるべきでしょう。