公務員からの転職

私が市役所職員を辞めようと思った理由

こんにちは、坂本と申します。

自分は市役所職員を5年勤めてから民間企業に転職しました。(生活保護課→社協出向)

もともと両親が市役所職員であったということもあり「公務員になること」が人生の早いうちからの目標でした。

大学では行政学などを学びUターン就職する形で地元の市役所に就職したのです。

しかしながら就職1日目から感じた違和感は年々大きくなっていき組織に幻滅。最終的には退職に至りました。

今回は自分が市役所職員を辞めようと思った原因・理由について記載していこうと思います。

業務面で幻滅したこと

生活保護課配属、初日から21時まで残業

自分は先述の通り新卒で市役所に就職。最初の業務は生活保護課でした。

生活保護課といえば、市役所職員が最も嫌がる部署の1つでしょう。(実際やってみると面白いところもあるんですけどね)

自分は4月1日に入庁式がありましたが、その日の10時には自席で電話を取らされていました。

しかもいきなり困難ケースからの電話にあたり「どなたですか?」と訪ねた時点でブチギレられ、1時間電話口で怒鳴られ続けるという悲惨な状況でした。

今となっては笑い話ではありますが、当時は精神的にも辛く、今考えてもずいぶんひどい目に合ったと思います。

また、配属直後は4月で忙しいという状況もあり同じケースワーカーの先輩は出ずっぱり。やることもないのに4月1日から21時まで残業をさせられることとなりました。

消防団と生活保護課との両立で30連勤

自分が勤めていた市役所は令和のご時世になっても男性職員の市役所職員採用の必須条件として「消防団への加入」があります。※今でも続いているそうです。

最終面接においては男性受験者のほぼ全員が市長に「消防団に入りますか?」と言われるそうです。※自分は機先を制して先に「入ります」と言ってしまいました。

これが悲劇の始まり。

消防団員は毎年「操法」の練習をします。「操法大会」に向けて反復練習を繰り返す時代錯誤な練習です。はっきり言ってこんなことを真面目にやる意味を感じられなかったのですが、週3回、20時から23時まで拘束され消防団の先輩に怒鳴られる。

残業を早めに切り上げて消防団の練習に行くので仕事は終わっておらず、日中は疲れ果てている。本業への影響が出ているのは明らかです。

それにも関わらず上司は「消防団への加入は市長の意向」として何も言えず、言わず。同じように消防団に加入させられていた先輩の中には月60時間の残業をしながら操法の練習をさせられ、疲れで通勤中に追突事故を起こしてしまう人もいました。

このような状況の中で仕事が終わらないせいで土曜日にこっそり出勤。日曜日は消防団の行事や後述のイベントのボランティアという名の無償奉仕。

ひどいときにはこれを足し込んで30連勤ぐらいになっていました。手取り16万なのに。

※他にも練習中に怪我をしたが労災として申請させられず
MRI代等で2万円ほど支払ったり、
コロナ期間中に飲み会を強制されてクラスターが発生
 1週間記憶がなくなったりなど人体にも財務的にも様々な損害を被りました。(消防団自体は嫌いではありませんでしたが…)

イベントへの無償奉仕を強いられ休日が潰される

これはどこの市役所・役場にもあるでしょう。どうでもいいイベントや祭りに対し、若手職員を中心として「ボランティア」として強制的に参加させられます。本来ならば休日出勤として代休や残業として対処するのが民間企業では当然。公務員であっても違法と思われますが、当然「ボランティア」なので費用は発生しません。

ただでさえ消防団をやらされているなかでそのような無償労働も追加されるわけです。

半日の「仕事」という形にはなりますが、ひどいときの年間休日は80日を有に下回っていたと思います。

この状態で万一事故が起こった場合の責任の所存も不明確なうえ、議員票集めのためにやりたがるだけの個人的には公金を投入する必要が全く感じられない行事。

該当部署の担当者も若手に「赤紙」を配らねばらなない苦しい立場も理解できるうえ、自分がその担当になった場合に総スカンを避けるために参加しなければならない…

相互監視と職員の善性にタダ乗りする最悪の制度だと思いました。

以前、阪神の優勝パレードにて神戸市役所と大阪市役所が無償ボランティアを強いられたというのが大きな話題を集めていましたが、小さい基礎自治体ではそんなの当たり前です。

職場環境面での不満

内勤が倒れる「冷房28℃設定」

役所においては「冷房28℃設定」という昭和の時代になんの科学的根拠もなく定められた基準が現代でも適用されています。

その28℃ですら暑いのですが、あくまで冷房28℃というのは冷房のセンサーが感知している28℃。実際の室温とは異なります。

以前、夏場に内勤が何人も熱中症で倒れるなんて事件も頻発しました。庁舎の冷房管理は総務部長が一括して司っていましたが、その人が重度の冷え性。しかも冷房直下に席があったことから風通しの悪い席の人が苦しんでいても冷房を付けなかったのが原因です。

労働安全衛生法では、第1条の「目的」に「(略)~労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする」と書かれています。

内勤が倒れるまで放置するような環境は当該法に反しており、それにより後遺症等が残ったら管理者としての責任も問われることでしょう。

そもそも暑がっているようでは事務効率も低下します。バカか。

パワハラの放置・隠蔽工作、被害者は泣き寝入りか退職か

自分が勤めていた自治体はパワハラを放置・隠蔽することが非常に多かったです。

パワハラ自体があることはともかく、人事部門・上長の対応が全くなされておらず、今後自分が被害者になる可能性があるとして将来に不安を覚えました。同じ上司(加害者)によって5年間で5名が休職・退職に追い込まれていたにも関わらず、人事として対応はしていませんでした。

さらに、自分が勤めていた市役所では「こいつは頑丈な職員だな」と思われるとより辛い部署に異動となる不文律がありました。それによってメンタルが強い職員がパワハラ管理職と2人だけの別室での職務に異動、逃げ場のない環境で精神を病み退職してしまったという優しい先輩を覚えています。市役所、そして何もしない人事が一人の職員の人生を壊したわけです。

自分は現在民間企業の人事職をしておりますが、こんなふざけた対応をすることは絶対にありません。

個人的な感情によるもの

最後に個人的な感想による退職理由について書いていきます。

今後、50年近く働ける気がしない

根本的な問題として、あと50年この職場で働けない、働きたくない、働ける気がしないというものがありました。

ストレスフルな仕事、中にも外にも敵がいる状況。やってもやらなくてもどっちでもいいような仕事。上司たちも「辞めたい…」とぼやきながら働いている環境。

人間が腐ると思いました。

逃げられる若いうちに逃げておこう、逃げようと考えたのです。

待遇が年々悪化している

地方公務員の待遇は年々悪化しています。

平成の間の共済年金廃止や退職金の減少、給与基準の引き下げといった目に見えるものだけでなく、行政の内容の複雑化・高度化に伴う業務難易度が上がったにもかかわらず職員数は変わらない。増え続ける老人、終わっていく地方。

考え出すとキリがありません。

自分はUターン就職をしましたが最終的に職を辞しました。

地元を2度捨てることになってしまったわけです。

「役所なのに法律守らないんだ」という幻滅

「役所なのに法律をまもらないんだ」という幻滅が役所から離れた一番の理由です

パワハラの放置・サビ残・「ボランティア」への強制徴発などなど…総じて役所は法律を守りません。

法律に従って職務を遂行することができるという点で公務員に憧れ、法学部を出て市役所に入りましたが実際は中小企業レベルの倫理観、法的思考しか持っていない組織でした。

よくこれで社会が回っているなと思います。

総評:それでも役所に入るなら止めないが…

とにかく人・組織に幻滅したことが私が市役所を退職した原因です。

とはいっても民間企業の激ブラックよりはマシだとはよく言われます。勤めていた市役所の中途職員はブラックな企業から転職しており、「役所はまだマシ」と言いながら働いていました。個人的には自分に言い聞かせているようにも思えましたが。

現在の売り手市場において田舎の役所に入るメリットは感じられません。新卒カードを無駄にしないでください。それでも入るのであれば止めませんが。