こんにちは、元生活保護ケースワーカーの坂本と申します。
生活保護の申請をする際に「支援ボランティア」や「手続きを支援するNPO」というのがあるそうです。
これらを使ったほうがいいのか?使ったほうが生活保護が通りやすくなるのか?
という疑問を持たれる方もいるかもしれません。
元ケースワーカーとして回答すると「特に必要ない」「使用したところで生活保護が通りやすくなることはない」と考えます。
確かに「支援ボランティア」や「手続き支援をしてくれるNPO」は存在しますが、少なくとも自力でこのサイトにたどり着くことができ、最後までこの記事を読み切ることができる方にとってはわざわざ使用する必要はないでしょう。
それらのボランティアは知的・肉体的・精神的に独力で相談・申請に至れない方にとっては役に立つかもしれませんが、それらに問題がない方にとっては政治的・宗教的なしがらみを生じる恐れもあることから元生活保護ケースワーカー的には使う有意性はないと思います。
ただ、それでも「支援ボランティア」や「手続き支援のNPO」を利用したいと考える人もいるかもしれません。
以下それらのボランティア・NPOを使うメリット・デメリットについて記載していきます。
これを読んでから彼らの助けを借りて生活保護の相談・申請に行くかどうか考えてみてもいいのではないかと思います。
メリット
話が早い
申請ボランティアは相談・申請の流れを知っています。
このため相談者本人の事情を予め聞くなどして「どんな点で困っているのか」「どういう点で困窮しているのか」をまとめてくれると思います。
そしてまとめた点を面談時に職員に対して説明してくれるでしょう。
ボランティアが同行してくれたほうが生活保護の相談・申請時に話が早く進むのは事実でしょう。
手続きの相談にのってくれる
収入が証明できるものや保険証書をはじめとして生活保護を申請する際には様々な書類を用意する必要があります。
ただ、生活保護の相談・申請をする方の中にはこうした事務作業が不得手な人も多いです。
この場合予め相談しておけば必要な書類を見繕ってくれる可能性があります。
もっとも、福祉事務所も手続きのサポートは適宜してくれますので、書類の準備ができる方にとってはわざわざ団体を使用するメリットはないでしょう。
おかしいと思う点を反論してくれる
生活保護の相談・申請時においては本人が上手に説明できない場合、職員が話すペースに載せられてしまうこともあるかもしれません。
本人としては「生活保護の申請がしたい」と思っていたとしても職員は「生活保護の相談に来たんだ」と誤解して話に齟齬が生まれる可能性もあります。
しかしながら、その際に「私は生活保護の申請がしたくて来たんだ!」と強く主張することができる人は正直多くないでしょう。
福祉事務所の面談室に入り、生活保護というものを申請する立場、つまり本人的には「アウェイでやりたくないことをお願いする」状況といってもいいかもしれません。
これらに対してボランティア団体の方はおそらく反論してくれると思います。
弁護士が同行してくれる場合には更に心強いはずです。
デメリット
議員が同行しても黒を白に変えることはできない
はじめに行った通り団体の方が同行したとしても生活保護になりやすいわけではありません。
生活保護というのは本人の収入が最低生活費を上回っているか否かによって決まります。
つまり生活保護は機械的に決定するわけです。
仮に団体がどれだけ圧を掛けたところで生活保護になりえない収入の人を生活保護にすることはできません。
黒は白に変わるわけではないということだけは覚えておいてください。
議員とのしがらみが生まれる
全てではないと思いますが、生活保護の手続き支援を行う団体には政治的な意向があるはずです。
また宗教的な見地から活動している団体も多いでしょう。
そういった団体と関係することによってもしかしたら何かしらのしがらみが生まれる可能性があります。
生活保護申請時に団体に同行してもらったしたほうがいい人
最後に生活保護の相談・申請時に手続き支援団体の同行をお願いしたほうがよいと思う人について簡単に解説していきたいと思います。
他に誰も頼ることができない人
以前別の記事で「生活保護の相談には友人・上司の同行も可能」という話をしました。
やはり一人で生活保護の相談・申請手続きを行うのは元職員から見てもなかなか困難だと思います。
相談の際はメモ役や助言・心理的支えをしてくれる人と一緒に行ったほうがいいと思います。
ただ、家族や友人など他に誰も頼る人がおらず不安で仕方がないという場合は支援団体を頼ってもいいかもしれません。
理解力に問題を抱えている人
生活保護を相談・申請される方はやはり理解力に問題を抱えている方が多いです。
これは知的障がいを抱えている(抱えているであろう)方だけでなく、精神疾患によって一時的に考えがまとまらなくなっている人なども含みます。
そのような方の場合保護の相談において上手に現状を説明することができず、結果的に生活保護の申請につながらない場合も考えられます。
こういった場合においては支援団体に助けてもらうことも一つの手段かもしれません。
この場合も信頼できる友人がいればその方と一緒に来れば同行は不要でしょう。
仮に一人で行く場合でも予め何に困っているのかをメモや文章にして相談時に提出する方法でも代替可能だと思います。
総評:少なくともこの記事を最後まで読むことができた方なら単独で相談しても大丈夫
ここまでの文字数は約2,800文字。
この長い文章を読めた方なら支援団体の同行は不要でしょう。
なぜならばあなたには理解力があるからです。
生活保護の相談・申請は「現在のお金の状態」「何に困っているのか」を主張することが大事です。
議員を連れて行ったところでこの2点を代わりに主張してくれる、書類手続きを手伝ってくれる程度の効果しかありません。
これは知人や弁護士を連れて行ってもその効果に大した変化はないでしょう。
元ケースワーカー的には生活保護の相談・申請の場において団体の同行は特に必要がないと言わざるを得ません。
特に地方部においては支援してくれる団体そのものがない場合もあります。
もっとも「一回役所に相談したけど断られた」という場合ならば団体及び地方議員の同行を検討するのもいいかもしれません。