こんにちは、元生活保護ケースワーカーの坂本です。
私はインターネット上に氾濫する生活保護についての正確ではない情報を改め、困っている人の助けになればいいと思い元職員という目線から記事を書いています。
今回は生活保護の相談・申請をスムーズに行うために相談者がやっておくべきことについてまとめました。
政府や役所は「困っている場合は相談してください!」と広報しています。
しかし、実際にどうやったらスムーズに相談ができるかについては詳しく教えていないのが実情だと思います。
役所は基本的に広報が下手なので仕方ない点はありますが、それにしても不親切だと思います。
実際に私が職員として相談していたときも「生活保護の相談・申請の段取りがわからず困惑している方」は多くいました。
そのせいで書類の提出を何度もお願いしたり、行き違いが発生してトラブルになったりと保護の申請者・職員ともに無駄な時間・作業が増えてしまいます。
ということで今回は生活保護の相談・申請をスムーズに行うために行うべき諸手続きについて相談前・相談前日・相談後に分けて実践的に解説していきたいと思います。
相談前に行っておくといいこと
「何に困っているのか」についてまとめる
生活保護の相談の際「どんな状況で何に困っているのか」という質問は必ずあるといっていいでしょう。
「生活保護の相談に来ているのだからお金がないからだよ!」という意見は当たり前かと思います。
しかしながら「どうして現在の状況(生活困窮状態)に至ったのか」を職員としては把握したいのです。
例えば「病気」「解雇」「障がい」などなどの原因です。
生活保護はお金を渡して終わりなのではありません。
生活保護法第一条には「自立を助長する」という文言が書かれています。
つまり、本人・家族の自立を助けるために職員は行動する必要があるのです。
これには、原因を突き止め改善していく必要があることから、現在の状況に至った経緯を聞く必要があるのです。
「お金に関わる書類」をまとめる
次に行わなければならないのが「お金に関わる書類」をまとめること。
この「お金にかかわる書類」ですが預金通帳・保険証書・有価証券(株・投資信託)などあらゆるものです。
通帳については開設している口座全て、保険に関しては現在加入しているものが対象になります。
現在の収入・所持金を把握する
現在の収入・所持金を把握します。
仮に仕事をしておらず今後の収入が全くの0であったとしても、貯金が数百万円あった場合、生活保護を受給することはまずできません。
また使っていなかった通帳にお金があったという場合も考えられます。
収入の状況、所持金については相談・申請時に必ず質問されるものであるため、事前に把握をしておくと面談時にスムーズに話が進むと思います。
福祉事務所に連絡をして予約を取る
生活保護の相談は基本的に飛び込みでも大丈夫。
しかし大きな自治体ほど相談数が多いため、飛び込みでの相談を断られることや長時間待たされることも容易に想定されます。
このため、生活保護の相談時には福祉事務所に電話を掛けて面談の予約を取っておくべきでしょう。
福祉事務所は市区町村の福祉課にあります
(厳密に言えば町村部は都道府県)
電話をする際は市区町村の代表電話に掛けて「生活保護の相談がしたくて…」と伝えるか
「〇〇市 生活保護」と検索して公式サイトに出てきた部署に連絡するといいと思います。
生活保護の予約のために電話する際、「住所年齢」「家族構成」「収入状況」「何に困っているのか」と質問されることが多いでしょう。
これは面談時にスムーズにことが運ぶための福祉事務所側の事前準備です。
適切な回答をするために予約の前に上記の内容を確認しておくことをオススメします。
当日持っていく物をまとめる
予約を行い面談日時が確定したら面談当日に持っていくものをまとめておきましょう。
持っていくものは「お金に関わる書類全て・身分証・印鑑・筆記具です」
これらについては別の記事で詳しくまとめています。
当日に行うこと
通帳に残高を記帳する
生活保護申請となった場合、通帳の提出が求められます。
申請日時点での所持金を把握する必要があるため、福祉事務所に行く前に通帳記帳をしてください。
ネットバンキングの場合はスマホ画面の提出が求められることもあるかもしれません。
できるだけ家族全員で行く
原則として生活保護は世帯単位で支給します。
つまり、両親が生活保護に同意をしていても同居の子どもが反対をしている場合は原則として生活保護の受給はできません。(例外あり)
また、生活保護は書類の提出や家庭訪問など、受給者の生活に職員が干渉することになります。
この行為が法律にもとづき、また生活を安定させ自立につなげるためになされます。
これらの原因などから「こんなはずじゃなかった!」と受給してから後悔をする方も実際いました。
このため世帯全員で保護の説明を受けるということは後々のトラブル防止のためにも有効だと思います。
申請してからやっておくといいこと
最後に生活保護申請を行い、決定が降りるまでの間(おおむね14日)に行うべきことを記載していきたいと思います。
なお以下の内容は福祉事務所から伝えられる内容を同一なので、不要な方は読み飛ばしても構いません。
ケースワーカーを迎える準備をする
生活保護の申請をしたあと、受給までに職員が一度家庭訪問をします。
これは実際にその場所に住んでいるのかの確認と家庭状況を把握して今後のケースワークに活かしていくためです。
おそらく職員に事前に言われると思いますが、きれいにしたり取り繕ったりする必要はありません。
ケースワーカーはゴミ屋敷にも行くことがあるため多少汚れていても気にしません。
ただ、職員が来るということだけは覚えておいてください。
※虚偽の住所を記入して保護費を貰ってトンズラというのも大昔にはあったようです。
金銭や状況に変化があった場合は福祉事務所に連絡する
生活保護を申請した段階から状況に変化があることも珍しくありません。
「会社の最後の給料が来月振り込まれる」とか「解約した保険の返戻金が入ってくる」などの金銭面での変化や
「同居の息子が転出した」「家を追い出されることになった」などなど内容は多岐に渡るでしょう。
この場合は、できるだけ早く福祉事務所に連絡をしなければなりません。
保護費の計算を変更することになる可能性があるからです。
これが遅れると保護費を返還しないといけなくなったり、悪質な場合は不正受給とみなされることも考えられます。
保護を受給してからも同様ですが、お金や世帯構成にかかわる事柄については福祉事務所に連絡する必要があります。
まとめ:福祉事務所の指示に従おう
長々と書きましたが、基本的には福祉事務所の指示に従ってください。
ただ、申請後の対応については福祉事務所の管轄ですが、保護になる前の細かい段取りについて助言・指示されることは殆どありませんのでこの記事は参考になると思います。