この記事は「生活保護の相談・申請に際して本人の友人が同行してもいいのか」について元生活保護ケースワーカーの筆者が解説する記事です。。
こんにちは、元生活保護ケースワーカーの坂本と申します。
この記事は
「友人が生活に困窮している」
「友人が生活保護の申請を考えている」
という方に向けて書いた記事です。
体調不良や病気になり、貯金も底を尽きた。
助けてくれる親族もいない…となると
最後の手段として生活保護を検討しなければなりません。
しかし、知的、病的な問題があったり精神的に不安定な場合など本人だけで生活保護の相談することが困難な場合もあることでしょう。
こういった場合、会社の友人が相談に同行することは可能なのか?
結論から言うと「生活保護の相談時に友人が同行するのは可能・ただし相談時に同席できるかは福祉事務所次第」ということになります。
生活保護申請・受給までの段取りはどうなるのか?
生活保護申請から受給までの段取りはそもそもどうなの?
と疑問になるでしょう。
詳細は別のページに譲りますが、基本的な段取りは以下の通りです。
福祉事務所(市区町村役場の福祉課)に訪問するか、職員に病院、自宅まで来てもらって生活保護の相談を行います。
話を聞いて必要な場合はその場で生活保護の申請を行います。
必要書類を記載提出したあと概ね14日以内に生活保護の受給の可否の決定がなされます。
そこで決定となった場合、保護費の支給は申請日に遡ってその次の週ぐらいにされるでしょう。
保護相談・申請時に友人が同行するメリット
生活保護申請時に友人が同行するメリットは以下の通りです。
本人の精神的・手続き的な助けになるから
生活保護の相談は本人にとってかなりの負担になります。
言いたくないことを話したり、今まで聞いたことのない単語で話されたり、今後の事務手続きについて説明を受けたり…
生活保護の相談を受ける状況になった人の多くは肉体的・精神的に健康な状態でない場合が多く、健康な方でも難渋する内容をすべて正しく理解することは困難です。
このため友人が同席しメモを取ってもらったり本人に噛み砕いた説明をしてもらったりすることは本人の助けになります。
また一人で役所に行くということは心理的にも大きなハードルがあると思うので友人と訪れたほうが本人も安心でしょう。
福祉事務所としても第三者的な立場から本人の来歴や状況について説明がいただけると今後のプランを立てる面でも非常にありがたく思います。
各種手続きの補助ができるから
生活保護相談・申請者の中で社会保険制度を理解している人は多くありません。
生活保護受給時には健康保険から生活保護制度に切り替えたり雇用保険や障害年金の対象になるか調べたりする必要があります。
これらの事務手続きは基本的に本人に行ってもらう必要があるのですが、受給者が単独で行うことは肉体的にも実務的にも困難でしょう。
その点、友人が付いてきて職員から話を聞き、各種手続きの支援をしていただけると本人の助けになると思います。
同席を断られる場合も考えられる
実際に自分が生活保護ケースワーカーをしていたときに友人が保護の申請に同席した場合は何例かあります。
友人が生活保護の相談・申請に同行することは稀なケースではありません。
しかしながら、福祉事務所によっては友人の同席を断られるケースも考えられます。
それらにはいろいろな理由があると思いますが、主な理由としては「友人による金銭的搾取が考えられるから」
精神疾患者や知的障害者の友人として振る舞い生活保護費や障害年金を搾取する経済的虐待を行う人間は警察沙汰になっていないだけでかなりの数がいます。
このような者は対象者に取り入り、生活保護を申請させ「私のお陰で生活保護が取れたんだ」などと言って月に数万円ずつ保護費を搾取したりするケースは立件が難しいだけで数多くあります。
こういったトラブルを過去に抱えたことのある福祉事務所の場合、友人の同席に警戒することは当然でしょう。
もっとも同席を断る法律も通達も聞いたことはないため同席の必要性を主張すれば一緒に相談を受けることはできるはずです。
仮に相談時に同席できなかったとしても一緒に行ってあげるだけで本人はかなり精神的に楽になるでしょう。
具体例
最後に友人が同行して生活保護の相談をする際に考えられる例を上げていきたいと思います。
なお、これらはすべて私の創作であり実際に起きたものではありません。
精神疾患によって一人での来所が難しい場合
相談者:友人 40代女性
対象者:40代 女性
対象者とは学生時代からの友人。
学生時代から精神的に不安定であり、就労が継続しなかった。
数年前に統合失調症の診断を受け、現在障害基礎年金2級を受けている。
医師から就労も不可能と言われ、病院のワーカーから生活保護の相談をするよう勧められた。
役所で長時間の相談に耐えられないとして同席するよう本人から依頼された。
同席していただいて結構です。
友人として相談内容のメモや各種手続きの支援をしていただけるとありがたいです。
良好な人間関係が本人の今後の良い生活にもつながっていくと思います。
保護受給後も色々と助けてあげてください。